セクシュアル・マイノリティから読み取る。 ―ダイバーシティ化に伴う立憲的視座【未完成】

 

 cinii等で博識者の論考を拝読し、納得の出来る学問探求の最中ではあるが、中々自分のアイデンティティに直結した(このアイデンティティ自体が浅はかで抽象的ではある)学問に巡り会えないもどかしさを感じている。これを「若さ故」と把握する事は認めたくないが、単純に「馬鹿だから」に帰結している。

 

 最近では、「憲法改正権の限界論」...『憲法 第2版(弘文堂)』 や、”基本的人権の尊重”とリンクする「積極的安楽死の是非」(1) 等、現在は静穏化(?)された、”憲法96条改正手続き問題”(2)に関心がある。しかしどれも自ら胸を張って考察出来る訳では無く、無知を露呈してしまうに他ならないので機会があれば別稿で論じる。

 

 (1)...「積極的安楽死の是非」について理解を深める有意義な文献として”自発的積極的安楽死の倫理的正当化可能性”(別府大学紀要 (MEMOIRS OF BEPPU UNIVERSITY). No.58  (2017. 02) ,p.105- 117 )が挙げられる。

 (2)...我が国「憲法96条」には”直接民主主義”と”間接民主主義”の二面性が混在する事にフォーカスし、現行改正手続きにおいて”直接民主主義”の脆弱性を指摘している。文献としては”憲法改正論議について ── 改正権の所在と地域住民の視点から ──”八戸学院大学紀要 )を参照

 

 大学に入学して7ヶ月が経つ。私が初めて大学で”一つの学問”であり”立憲的アプローチ”として触れたのが、セクシュアリティ(多様性)である。

原点に戻りセクシュアリティに関する論考を拡げた時に、何とも言えぬ帰属意識を微かに感じた。

 本稿では、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)に対して社会的・文化的・慣習的にも排外的な傾向が見受けられる我が国に際して、”基本的人権の尊重”を礎とする”国民権利平等”との照合や、今後訪れるであろう多様化(ダイバーシティ)と、最高規範である我が国の憲法はどう向き合って行くか、幾つかの問題点を抽出する事により、一定の意義があると(信じたい)いえよう。

 

 まず「セクシュアル・マイノリティ」の具体例に触れる必要がある。主に本稿で論じるのは”LGBTである。それぞれ Lesbian(レズビアンGay(ゲイ)Bisexual(バイセクシャルTransgender(トランスジェンダー)の頭文字で形成された造語(3)であり、最近ではLGBTに含まれない、別のセクシュアル・マイノリティに悩まされる者を包括的に含んだ、”LGBTs”(4)と表記する場面が多々見受けられる。具体的に列挙すると、中性(男性と女性の間)、両性(男性でもあり、女性でもある)、無性(当てはまる性別のない者)(5)や、クエスチョニング(自分の性が不明な者)などが含まれる。

 

 

  (3)...”マイノリティ”(少数派)と総称する事が差別であり、「LGBT」と呼称する様になったと言われている。本稿ではマイノリティを「多様社会に向けての先導者」と定義し、”少数者”としてのニュアンスを抑える事により利害調整を図っている。

  (4)...余談だが、多様な性の数ほど、名称を必要とするのが筆者の考えである。セクシュアル・マイノリティは身体障がい者と違い、外面だけではマイノリティと気付き難い。そして当人にも所謂、羞恥心や、人間関係への恐怖や、その他の内在的な不安が混在し、帰結としては自殺を導く場合がある。義務教育や学問等で「様々な性の名称・在り方」を多くの人々に認知して貰い、相互理解を深める事により、当人のアイデンティティの帰属にもなる。また一般教育として教科書等に記載される事は、当人が自らのセクシュアリティを知り得る機会にも繋がり、「自分は排外的な人間ではない」と理解し、自殺へのマインドを避ける事に繋がる。これらの動きに関しては昨今、我が国の文部科学省から布告された資料からも見て取れる。参照:性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について:文部科学省

 (5)...中性・両性・無性は一般的に”Xジェンダー”と呼ばれ、その自己判断は、そうではない者(身体と心の性認識が一致している者)からすると、中々その性質を理解するのは困難だと思われる。また各ジェンダーが法律上において、婚姻などに伴う社会保障が認可された時、極めて曖昧な性質だという事を理解した者が「(偽)Xジェンダー」として装い、保障金を蝕む可能性が無いとは断言出来ない。その他にも様々な問題点が内在しており、まだ模索中といえよう。

 

 まずLGBTsである当事者が社会生活を営む上で我が国の憲法条文と、どの点で摩擦を引き起こすか概観する。

 

①婚姻の自由を規定した憲法24条

 「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立しー」と、”両性”という文言がある事から、この条文から読み取る上で、無論全てのLGBTsが該当する訳ではないが(6)、同性愛者同士の婚姻は違憲であると解するべきだろう。

 

 (6)...この条文上、摩擦を生じないLGBTsの一例として「バイセクシャル(異性間結婚の場合)」や「トランスジェンダーの者が性別適合手術を終え、戸籍を変更した上で異性と婚姻」(例:性自認が男性 生物学的性が女性の場合、性自認(男)に身体を適合させ、”性同一性障害特例法”に則って戸籍を変更し、女性と婚姻)などが列挙される。しかし現状を見る限り、後者の”性同一性障害特例法”が機能していない様に思われる。原因としては戸籍を変更する上で”変更すべき性別の性器に近似する外観を備える”ことを要件としている。トランスジェンダー全ての者が性別適合手術を希望してない事に加え、経済的な背景も考えられる。その為、この特例法は問題点が多い”妥協の産物”だと評価される事が多い。「性同一性障害特例法」が不完全である事を指摘している文献として「LGBT の抱える生活問題と 社会保障に関する諸論点 49 ( 4 )  , p.1259 , 2017-03-12 , 龍谷大学法学会」 が挙げられる。

 

最終更新 2017 11/22 18:11